古い抵当権、放置された昔の抵当権(いわゆる休眠担保権)が不動産についていると、それだけで不動産を処分することが難しくなります。なぜなら買主が不動産を購入しても、もしかしたら古い担保権により競売にかけられてしまう可能性があるからです。
そのような不都合を解消するためにも、休眠担保権(昔の抵当権・根抵当権・質権など)を抹消した方が良いでしょう。当事務所においても煩雑な登記手続きは大歓迎です。一生懸命ご相談に乗ります!
全国どこにお住いの方でも、相談を承っております!!
休眠担保権とは・・・
明治、大正、昭和初期~50年代まで、長年放置されているずっと昔の抵当権や古い担保権(抵当権、根抵当権、質権など)で、抵当権者と連絡が取れず、休眠状態にある担保権のことをいいます。
休眠担保権の外に、休眠した用益権(賃貸借、地上権など)がございます。こちらについて休眠担保と同様、権利者と連絡がとれない古い用益権のことです。昔は短期賃貸借が抵当権よりも保護されていたことを利用して、抵当権の設定と同時に、賃借権の仮登記が設定されていたこともあります。このような登記は今となっては無効と判断され、法律も改正されたため、今はこのような運用は実務では行われていません。
このような権利についても、訴訟等で抹消することができますので、お気軽にご相談ください。
そもそも抵当権を抹消するには、不動産の所有者と抵当権者が一緒になって登記所で抵当権を抹消する申請をしなくてはいけません。登記上、抵当権を失う立場にある抵当権者を無視して抵当権を抹消することはできません。
しかし、抵当権者が行方知れずにある場合には、その大原則を貫くと、抵当権をいつまでも抹消できない事態になってしまいます。そこで、制度して、抵当権を抹消する特殊な方法が4つ用意されています。これによれば、不動産の所有者のみの単独で抹消の登記をすることが可能となります。
担保権者が行方不明であるほうが、手続きが早かったりすることがあります。しかし、担保権者又はその相続人の所在が判明しているのに、それを行方不明としてこれらの方法を利用することはできません。
不動産屋には、「頭が固い」「お役所仕事」「解釈の問題」などと言って主張されている方もいらっしゃいますが、登記は手続きをきちん適正に行ってこそナンボの手続きです。
もし、担保権者に「郵送物を受取らないでください」とお願いし、行方不明となるよう口裏を合わせて抹消登記をしてしまった場合、後からその担保権者に「いや、あの時は司法書士から協力するようお願いされたんです」等と異議が出された場合、抹消した登記が回復される可能性があります。結局それは当事者双方にとってとても大きな損害になる可能性となり、例え急いで抹消する事情があったとしても認める事は到底できません。このような処理をして実際に懲戒処分となった司法書士もおります。
これは「頭が固い」とかそういう問題ではなく、休眠担保権抹消の手続を違法に利用しているのです。
当事務所では、行方不明であるかどうかの調査は徹底して行います。
メリット⇒ 一番費用が係らない方法です。
デメリット⇒ 昔に完済した事を証する書面(契約書と領収書など)を手元に保管していることはまれであるため、 現実には利用されない事が大変です。
メリット⇒ 明治時代・大正時代の古い抵当権である場合、費用が安く済みます。
デメリット⇒ 抵当権者が法人の場合には、法人の登記簿がある限り行方不明とみなされないため、この手続きを利用することが難しい。また、債権額の金額に加えて、利息と遅延損害金を合わせて供託しなければならないため、戦後の抵当権だと供託金額が数十万円になることが多い。
メリット⇒ 費用はかかりませんが、手続きする期間が長引きます。
デメリット⇒ 権利が消滅していることの証明(契約書と領収書など)が必要であるため、条件が厳しい。また、消滅時効が成立していることで抹消をする場合には、『消滅時効の援用』を事前に行っていないといけないため、それならば援用のための訴訟をした方が早い。
メリット⇒ 資料も何も残されていない場合の最終手段としての手続きです。
デメリット⇒ 上記の中では一番時間を要する。抵当権者の所在が判明している場合、争ってくる可能性がある。登記原因が「判決」になることが多く、実体法上、債務が消滅していることによる抹消ではない。
休眠担保権の抹消手続きにおいては、何はともあれ証拠(資料)がないと、どの手続きを踏んでいったらいいのかが判断できません。当事務所にご相談くださる際には、以下の資料を探していただき、ご用意ください。
書面・資料 | 備 考 | |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 最寄りの法務局・登記所でお取り寄せください | |
担保権に関する契約書等 | 抵当権設定契約書、金銭消費貸借契約書など | |
被担保債権を支払った事がわかる書面 | 完済証明書、解除証書、償還表、領収書、預金通帳など | |
固定資産税納税通知書 | 固定資産税評価証明書でも可 |
項 目 | 報 酬 | 備考・実費 | |||
休眠担保抹消手続 | 20万8,000円~ | 除権決定や訴訟等の裁判手続きを採る場合は1件33万円~ | |||
登記事項証明書 | 1通1080円 | 1通600円(実費)かかります。 | |||
固定資産評価証明書 | 1通1080円 | 実費として1通200円~400円かかります。 | |||
戸籍謄本等取得 | 5,400円 |
戸籍謄本 1通450円 除籍謄本 1通750円 ※遠方に戸籍がある場合には、定額小為替手数料で100円かかります。 |
Q:全国どこでも相談に乗ってもらえますか?その場合、料金はかかりますか?
A:当事務所は愛知県にありますが、全国どこでも対応しております。当事務所の対応地域ならば自家用車で伺うため交通費は特別請求していません。それ以外の東海三県以外の都道府県では交通費を別途請求しますが、深夜バスなどでなるべく交通費のかからないように現地調査や相談者の元に伺います。
Q:古い担保権がついているのが分かっていますが、いつまでに抹消するなどタイミングがありますか?
A:抵当権の抹消については「いつまでに」という期限はありません。しかし、このまま放置していると、当時の関係者はますます見つかりにくくなり、手続きがより煩雑になりやすくなります。このまま放置していても、事態が好転することはまずありませんので、古い担保権が見つけたこの時が、抹消を考えるタイミングと考えて良いかと思います。
Q:担保権者の行方が判明していて、抹消に協力してくれない場合はどうすればいいか?
A:その場合には、抵当権抹消の訴訟を提起するほかありません。その際、もちろんローンを払い終わっているか、消滅時効にかかっていなければなりません。
Q:抵当権者が解散して清算結了してしまった会社なのですが、この場合はどうすればいいか?
A:清算結了した法人に、清算結了前に完済したのに抵当権の抹消登記がされていない場合には、清算結了をした法人には、依然として抵当権抹消を申請する義務あるので、清算は結了していないことになります(昭和5・7・11民事692号)。この場合には、清算人から法人の清算結了の抹消をしなければなりませんが、不動産登記上では清算結了抹消の登記をせずに、清算結了登記申請時の清算人が法人を代表して、抵当権を抹消することができます(昭和24・7・2民事甲1537号)。
また、清算人が行方不明である場合や既に亡くなっていた場合には、利害関係人として裁判所に対し、法人の清算人の選任を申立て、当該清算人と共同で抵当権を抹消することになります。
Q:住宅専門金融会社の抵当権が残っているが、住宅専門金融会社は清算してしまったので、これも休眠担保権ですか?
A:住宅専門金融会社の債権債務は、整理回収機構(RCC)が引継ぎ、抹消していない抵当権についても整理回収機構が窓口になって担当しております。整理回収機構に問い合わせると、当時の清算人から書類等をもらって登記手続きをすることになります。
Q:どうしても急ぎで休眠担保権を抹消したいんですが、可能ですか?
A:残念ながら、相談段階ではどれくらいの時間で解決できるかは全く断言できません。持って来てもらった資料を精査して、担保権者の行方を調査して、4つある担保権の抹消方法のどれを使うか方針が分かります。裁判所を通さない手続きならこの時点でも見通しが立ちますが、裁判所を通す手続き(訴訟)の場合は、訴訟をしてみないと全く予想つきません。
Q:休眠担保権なのかどうなのか、行方不明なのかどうなのか、はどうやって調べればいいですか?
A:まずは、①登記記録上にある住所を元に、戸籍謄本と住民票の写しがないか管轄の役所に請求をします。戸籍と住民票がなければ、今度は、②登記記録上の住所が置いてある土地建物を調べて、その土地建物の所有者を登記事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せます。それでも見つからなければ、③手紙を送り、現地調査をします。①~③の手順を踏んでも、担保権者が見つからなければ、所在不明として扱って良いと思います。
Q:担保権者の行方不明(所在が知れない)ことを証明するものは何ですか?
A:市区町村長が発給した不在住証明書又は受領催告書が不到達であったことが分かる返送された郵便物になります(登記研究493号)。
Q:受領催告書が不到達であったことを証する書面ですが、休眠担保権が古すぎて、担保権者は間違いなく死亡していると思われる場合でも、登記記録上の住所に郵送して良いのですか?
A:担保権者が死亡している蓋然性が高い場合でも、登記上受理されます(登記研究496号)。
Q:「受取拒否」として返送された配達証明付郵便物は、行方不明を証する書面になりますか?
A:受取拒否の場合は、受領催告書が不到達であったことにはならないため、行方不明を証する書面にはなりません(登記研究539号)
Q:担保権者が法人だった場合の「担保権者の行方不明(所在が知れない)ことを証する書面」はどのようなものですか?
A:法人の場合の行方不明は、当該法人について登記記録がなく、かつ、閉鎖頭規模が廃棄済みであるためその存在を確認できない場合をいいます。その場合は、申請人が当該法人の所在地を管轄する登記所において調査した結果を記載した書面となります(通達)。
その内容は、少なくとも、申請人または代理人が、当該法人の所在地を管轄する登記所において、登記事項証明書(閉鎖登記簿謄本)の交付申請をしたが、当該登記記録が存在しないために、その目的が達することができなった旨を記載したものでなければなりません。そして、その真実性を担保するために、当該書面には申請人全員の署名捺印をし、印鑑証明書を添付することを要します(この印鑑証明書には有効期限はありません)。また、調査を第三者に委託した場合には、申請人が調査書にその旨を記載して、署名捺印すべきとされています。
Q:「債権額の金額を供託する方法」ではどのような書面が必要になりますか?
A:①被担保債権の弁済期を証する書面、②①の弁済期から20年を経過した後に当該被担保債権その他利息および債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたことを証する書面(供託正本)、③登記義務者(担保権者)の所在が知れないことを証する書面、になります。
Q:被担保債権の弁済期を証する書面とは具体的には何ですか?
A:昭和39年3月30日前の抵当権なら、登記簿上に記載があるため、閉鎖登記簿謄本になります。昭和39年3月30日以後の抵当権では弁済期の登記記録はないため、債権者・債務者間で合意した金銭消費貸借契約書、弁済猶予証書が「被担保債権の弁済期を証する書面」になります。ただし、これらの書面が存在していなかったり、提出することができないときは、弁済期について債務者の申述書(印鑑証明書付)でも差支えないとされています(昭和63・7・1民三3456号、登記研究487号)
Q:利息が金銭以外の物(例えば、年米一石)となっていた場合の利息・損害金の計算方法はどうすればよいですか?
A:この場合は、利息・損害金の定めがないものとみなし、利息・損害金ともに年6分の利率で算出します(昭和63年度主席登記官会同質疑)
Q:被担保債権が金銭以外のものであった場合はどうすれば良いですか?
A:この場合は、登記簿上に記載のある債権の価格を債権とすることできます。
Q:登記簿上に債権額の記載がない場合はどうすれば良いですか?
A:この場合は、債権額の金額を供託する方法で、休眠担保権を抹消することができませんので、訴訟など他の方法により抹消することになります。
2000年
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