<維新の党>足立議員「秘書残業代不払い奨励する意図ない」
維新の党の足立康史衆院議員(比例近畿)は26日、衆院厚生労働委員会で元秘書の残業代を「支払うことはできない」などと発言したことについて「残業代不払いを奨励する意図は毛頭ない。機密事務を扱う秘書は残業代支払い業務の適用外と考えている」と釈明した。その上で「誤解を招く発言でお騒がせしたことはおわびする」と陳謝した。毎日新聞の取材に答えた。
労働基準法は時間外労働への残業代支払い義務を課すが、「機密の事務を取り扱う者」は適用外としている。厚労省によると、国会議員秘書の場合は個々の事案で異なるが、該当する可能性もある。
足立氏は「議員秘書への残業代不払いは違法ではないと考える」と説明した。足立氏は25日の同委員会で、「私は24時間365日仕事をする。そういう中、秘書だけ法に沿って残業代を支払うことはできない」などと語っていた。【福岡静哉】 |
さて、労働基準法41条2号によれば、労働時間、休憩及び休日に関する規定は事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者については適用しない、と定められています。
では、ここで秘書は「機密の事務を取り扱う者」に当たるかどうかですが、これについては通達が出されています。
機密の事務を取り扱う者とは、秘書その他職務が経営者または監督もしくは管理の地位に在る者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者をいう(昭和22年9月13日発基17号)
そもそもこの規定の趣旨は、経営者と一体となって行動しなければならない仕事についている者については、労働時間制とすることは適切ではないためです。ですので、上記のように「経営者等の活動と一体」で「厳格な労働時間管理になじまない者」という要件も必要となり、単に秘書というだけでは、機密の事務を取り扱う者には当たらないと考えられています。上記通達の「秘書」はあくまで例示として挙げられているというわけです。
したがって、この議員の秘書が、議員と一緒になって活動していれば、適用除外の可能性はあるが、秘書室で議員の指示に従って事務をこなすというような場合にはついては、適用除外にはならない可能性もあります。