愛知県津島市・愛西市・弥富市を中心で営業している「いとう司法書士事務所」です。
社会福祉法人制度について経営組織のガバナンスの強化、事業運営の透明性の向上等の改革、介護人材の確保を推進するための措置、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しの措置についての法改正案が今国会で提出されました。
第189回国会(常会)提出法律案
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/189.html
現在の社会福祉法の社会福祉法人に関する規定は、曖昧なところが多いです。それが、高度の公益性を有する法人であるにも拘わらず、理事長の私物化につながったりと批判があったため、一般社団・財団法人法にならった形で、法整備されるようです。
例えば、現行は評議員の選任方法は定款にゆだねられていました。そこで現在の社会福祉法人定款モデルでは以下のとおりとなっているため…
第〇条 評議員は、社会福祉事業に関心を持ち、又は学識経験ある者で、この法人の趣旨に賛成して協力する者の中から理事会の同意を経て、理事長がこれを委嘱する。
2 評議員の委嘱に当たっては、各評議員について、その親族その他特殊の関係がある者が○名を超えて含まれてはならない。
…とこんな形で規定されている社会福法人がほとんどかと思われます。
しかし、本改正においては改正法31条5項において「評議員に関する事項として、理事又は理事会が評議員を選任し、又は解任する旨の定款の定めは、その効力を有しない。」とされています。
確かに、評議員は理事・理事会を監督する機関ですから、監督される機関から選任されるというのは、監督機能が働かなくなってしまいます。私も以前、理事・評議員の改選について相談を受けた時、この組織関係について、ものすごく違和感を感じました。
したがって、現行の定款モデルでは、本改正に抵触する恐れがあると思われます。
また、改正法40条2項では「評議員は、役員又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない。」とされています。私が相談にのってきたいくつかの社会福祉法人には、役員を兼任されていたり、任期を終えると役員に、そのまた任期を終えると評議員にとなっていた法人が見受けられました。
本法律の改正と厚生労働省令によっては、このような法人運営はできなくなりますので、社会福祉法人の総務法務の担当者は、先を見据えた組織運営や人材確保に動く必要があるでしょう。
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