愛知県津島市・愛西市・弥富市を中心で営業している「いとう司法書士事務所」です。
不動産の持ち主が亡くなった場合、かならずやってほしいことがあります。それは不動産の名義を変更する相続登記です。
先日、こんなニュースがありました。
<空き家820万戸> 登記放置した法定相続人が増加
数十年前に亡くなった祖父母や曽祖父母が登記されたまま、相続登記がされていない空き家が全国各地で問題になっている。子から孫へと、世代が下るにつれてねずみ算式に相続人が増え、解体するにも活用するにも相続人全員の同意を取り付けるのが難しくなるからだ。登記を先送りするほど解決が遠のくため、早めの対応は必須だ。
岐阜県美濃地方の住宅街にある木造二階建ての空き家。土地と建物の名義人は一九四七年に亡くなっているが、これまで相続登記がされていなかったため、法定相続人が現在、計二十二人にまで増えてしまった=図。名義人の孫にあたる男性(72)は「名義を変えて権利を集約したいが、多くの相続人の了解を得るのに苦労している」と、家系図を見ながら嘆いた。
もともとは男性の兄が、この家に家族と暮らしていた。しかし、兄は二〇〇四年に六十代で他界。男性は四年前、兄の妻と子が別の場所に引っ越す際、家と土地の名義が祖父のままになっていることを、兄の妻から知らされた。
司法書士に戸籍謄本などを調べてもらうと、相続の範囲は既に亡くなったいとこの子にまで広がっていた。住所は東海地方だけでなく、関西や九州にも散らばり、男性が会ったこともなく、連絡を取るのも難しい人もいた。
約七十平方メートルの土地と建物の評価額は約四百万円。今のところ売却も難しく、男性は名義を男性のきょうだいの一人に変更しようと考えている。このように、複数いる相続人のうちの一人が集約して相続するなど、法定以外の割合で相続する場合、「遺産分割協議書」に相続の仕方などの内容をまとめ、相続人全員に了解を取り、実印を押してもらう必要がある。
これまでかかった費用は、司法書士への依頼や遠方の相続人に会うための交通費、事務手続きなどで計百万円に上る。男性は「相続人の中には認知症の可能性がある人もおり、成年後見人の選任もしなければならないかも」と不安を漏らす。登記を先送りしてきたツケがのしかかっている。
相続登記は法律で義務付けられていない。手続きの煩雑さや費用の問題から、不動産の評価額が低いほど放置されやすい。
京都まちづくり承継研究会代表で、町家の活用や空き家対策に取り組む司法書士の石田光曠(みつひろ)さんは「一九四七年の民法改正まで、戸主に所有権が自動的に移される家督相続制度が普通だったことなどで、相続登記が進まなかった」と指摘する。戦後の民法改正で法定相続制度になり、家長以外にも相続権が認められるようになったが、相続登記の期限は設けられなかった。
放置が長引くほど、相続人がねずみ算式に増えて権利関係が複雑化する。遺産分割協議ができず、土地の買い手が現れても売却が困難になったり、建物の改修ができなくなったりと、前向きな活用の足かせになることもある。
また、石田さんは「不動産がある地域との縁が薄れた相続人は、非協力的になりやすい」と強調。「『面倒なことに関わりたくない』『あの人には協力したくない』など、感情的な言動をする相続人の説得は非常に難しい」と話す。
石田さんは、早めの対応を呼び掛けるが、社会の認識はまだ乏しいとして「相続登記の義務化など、根本的な制度の見直しが必要」と訴えている。
私にもこのような経験が何度もあります。
不動産の名義変更が放置されているとき、現在の名義人は大正生まれや昭和一桁生まれのケースが多いです。そのような方の時代というのもあって、子供は5人6人というのがザラにあります。また、庶子を作ったりもしています。
遺産分割には相続人全員の署名押印が必要であり、相続人がなくなっていると、相続人の相続人全員から署名捺印が必要になります。ですので、相続人が十数人、二十数人となり、全員から署名捺印をもらっている間に、誰かが死んじゃう…なんてもこともあるわけです。
現時点で、不動産の名義変更をなされていない方は、直ぐに、司法書士に相談しましょう。
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