農家の相続手続きについては、サラリーマン世帯の相続手続きよりも、少々煩雑です。サラリーマン世帯よりも不動産や保険を有している事が多いからです。相続手続きが必要になる代表的なものは、農地、未登記不動産、農業協同組合の出資金、共済保険・簡保、小型船舶です。
農地を売買・贈与により取得するときは農業委員会等の許可が必要になりますが、農地を相続する場合は、農業委員会の許可は不要です。したがって、非農家の相続人も農地を取得することができます。
まずは、通常の相続登記を同じく、相続人を確定させて、遺産分割協議を行い、法務局の方へ登記を申請すれば、農地の名義変更は完了です。
ただし、農地法3条の3により、相続で農地を取得した者は、農業委員会に届け出なければなりません。これを怠ると10万円以下の過料に課せられる可能性があります。
農地の相続手続きは、法務局への相続登記と農業委員会への届出、憶えておきましょう。
ビニールハウスなどの不動産は、法務局で建物として登記することはできません。また農家では農機具を保管しておく車庫や倉庫などを有している場合が多く、その建物についても未登記のケースが多くあります。
このような未登記の建物についても、固定資産税が課せられており、誰が所有者で納税者であるかを管理しております。
未登記の不動産についても相続登記を同じく、市区町村の資産税課などに行って、未登記家屋の名義変更届をしておく必要があります。
農家の方は、農業協同組合(JA)に出資して組合員になっておられます。したがって、相続が発生した場合には、組合員は法律上脱退となります。これらの配当金や再加入について、何日以内に手続きをしなければいけない、という取扱が各JAによって異なるため、まずは最寄のJA窓口へ相談する必要があります。
農家の方の多くは、共済保険や簡保に加入されている方は多いです。これらについても、契約者が死亡した時には、相続手続きが発生します。
保険証券を確認の上、最寄りの郵便局やJAに相談する必要があります。