会社法上、株式会社は株主名簿を作成し、それを保管していなくてはなりません。
しかし、上場している会社でもない限り、株主が頻繁に変わることもないため、株主名簿を作成している会社は、あまりありません。また、どこかに提出することもないため、その必要性もありませんでした。
ただし、平成28年4月20日に商業登記規則の一部が改正され、平成28年10月1日からは、株主総会決議を要する登記手続きには、株主リストを添付することになりました。
改正の理由は、株主の知らないところで勝手に株主総会がなされ(又は総会をしたようにして)、会社の登記を不実に変更することが後を絶たないため、株主リストを添付させることによって、その真正を担保する、というものです。
また、会社の実質的な所有者(オーナー)が、誰なのか?ということが一般市民に把握する術がないため、登記所に保管させて、閲覧することでその解決を図るため、とされています。
「不実の登記をする奴は、そんなものお構いなしにやってくる」「不実の申請がこれで回避できるのか?」などと実効性には疑問があるところですが、平成28年10月1日からこのような決まりとなりますので、会社としては、準備しておいた方がよいでしょう。
それでは、株主リストとはどういった内容のものか?ということですが、条文ではこうあります。
株主全員の同意を要する場合
株主全員の⽒名⼜は名称及び住所並びに各株主が有する株式の数(種類株式 発⾏会社にあっては、株式の種類及び種類 ごとの数を含む。次項において同じ。)及 び議決権の数 |
総会の決議を要する場合
登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主(種類株主総会の決議を要する場合にあっては、その種類の株式の総株主)の議決権(当該決議(会社法第319条第1項(同法第325条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)において行使することができるものに限る。以下この項において同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であって、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数(種類株主総会の決議を要する場合にあっては、その種類の株式の数)及び議決権数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書⾯を添付しなければならない。 1 十名 2 その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数 |
…と、何やら分かりにくい内容になっておりますが、株主の一覧表としては、こんな感じになると思われます。
株主名簿が置かれていない会社の場合、株主の構成を確認するのに決算報告書の「同族判定に関する明細書」というものをよく使います。記載れている内容も似ているので、これを添付するのではダメなのか?と思うところですが、法務省のパブリックコメントでは、これでは代えられないとしています。
この株主リストを実際に作成するのは、おそらく司法書士になると思います。まったく手がかりがないところで、リストを作成すると、思わぬ費用が係ってしまうおそれがあるため、今のうちに準備しておきましょう。