財産分与とは「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情」を考慮してなされるもので、以下の要素として認められるものです。
婚姻中に、双方が協力して形成した財産は、その名義や多少にかかわらず財産分与の対象となります。例えば、夫の所得によって不動産を夫名義で購入したが、妻が専業主婦として家事を分担し、夫の不動産取得に協力・貢献したという場合です。
退職金は賃金の後払い的な要素があるため、財産分与の対象となります。学説の中には失職等将来の不確定要素が強い事を理由に認めない考え方もありますが、一般的には、将来退職金を受け取る蓋然性が高い場合は、財産分与の対象とすべきと解されています。
財産分与の対象となるものは、不動産・預貯金などの積極的な財産のほかに、金銭債務などの消極財産も含みます。裁判においても「夫婦共同生活の中で生じたもの(債務)については、財産分与に当たりその債務発生に対する寄与の程度に応じてこれを負担させることができるというべきであり、その負担割合については、財産形成に対する寄与の場合と同様、特段の事情がない限り、平等と解すべきである」としています。
婚姻中に築いた共有財産はないけれど、一方がその財産の維持に協力・寄与した場合には、その維持についての寄与分を財産分与の対象に加えることができます。
財産分与を取り決めるの時期は、一般的には離婚の際に取り決めがなされます。ただし、事情によっては離婚だけを先行して、財産分与は後で決めるということも可能です。その際には、時効を気を付けましょう。
財産分与の時効は離婚の時から2年となります。正確には、この期間は時効ではなく「除斥期間」と呼ばれるもので、この期間の進行を停止することはできません。財産分与がなされずに離婚した場合には、早急に裁判手続きを視野に入れて動いた方がよろしいでしょう。