離婚による慰謝料は、離婚を招いた原因(不法行為)に基づき損害賠償請求のことですので、裁判上でこれを請求するには、配偶者の有責行為により離婚を招き、精神的苦痛を生じさせたことを主張立証する必要があります。
協議離婚(裁判外)により慰謝料を決めるときは、話し合いにより金額を決める事になります。
裁判において、慰謝料を算定する材料は、婚姻関係が破たんした経緯、有責行為の様態・程度・期間、関係修復への努力の有無、婚姻期間、婚姻生活に対する誠実さ、当事者の年齢、経済状態、離婚後の状況などの一切の事情が判断材料となります。
このように判断材料が多くあるため、判例などにより客観的な基準は見出せません。金額としては200万円~300万円が多く、500万円を超えることは少ないようです。
とりわけ、「有責性」「婚姻期間」「相手方の資力」が重視されると言われております。
まずは、話し合いにより合意が得られるかどうかを検討します。話し合いする状況ではない、合意が得られない場合には、家庭裁判所に慰謝料を含めた「夫婦関係調整の調停」を申立てます。そこで調停が成立すれば調停調書が作成され、調停内容に沿った慰謝料を得る事になります。調停が不成立の場合には、慰謝料請求の訴訟を提起することもできます。
なお、慰謝料の調停・訴訟は、離婚請求と一緒に行く事もできますし、単独で行う事も可能です。
話し合いや調停が成立しても、その後に支払いがなされない場合には、強制執行の手続きを行う必要があります。
「不法行為のもとづく損害賠償請求権」の消滅時効は、損害及び加害者を知った時から3年です。離婚による慰謝料もそれと同様であるため、離婚成立の日から3年以内に請求しないと消滅時効にかかってしまします。
離婚原因となった個々の不法行為の慰謝料(離婚原因慰謝料)もありますが、この請求をするには損害があったときから3年で消滅時効にかかってしまいますが、3年を経過してから離婚しても、離婚成立の日から6ヶ月経過するまでは時効は停止しますので、離婚成立の日から6ヶ月以内に調停の申立や訴訟を提起すれば良いです。
配偶者の不貞行為の相手方については、夫婦関係を破たんさせられ損害を受けているため、慰謝料の請求をすることができます。
ただし、すでに婚姻関係が破たんしていた場合、離婚紛争の当事者となっている夫婦の場合等には、慰謝料の請求は認められません。