戸籍を収集して相続人を確定した後は、遺産分割協議を行います。
相続が開始されると、不動産、自動車、預貯金等の各相続財産は、法定相続分の割合で共有している状態になります。遺産分割協議は、その共有状態を解消し、「不動産は誰が取得するか」「自動車は誰が取得するか」といったように、単独名義にする目的でなされます。
実際に、不動産の名義変更の申請や、預金の名義変更や払戻し手続きには、遺産分割協議書が要求されます。
遺産分割協議を行う前に、被相続人の遺言書がないか再確認しましょう。相続手続きは、まず遺言書の内容が優先されますので、遺産分割協議を行っても、遺言書があると無効になってしまいます。
遺言書は仏壇や故人の使っていた机やタンスに保管されていることが多いです。また、公正証書遺言を作成している可能性がある場合には、公証役場に遺言書の検索をかけてもらうと良いでしょう。
遺産分割を取り仕切る人は、相続財産を全て開示しましょう。一部でも隠していると、相続人間で不信感が芽生えてしまい、その不信感が協議成立の障害になる可能性があります。
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。一人でも欠けていると、その遺産分割協議は無効となります。したがって、相続人の中の1人が気に食わないということで、黙って遺産分割協議をすることはできません。認知している子供、前妻の子供なども相続人に当たりますので、注意が必要です。
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があることは先ほど説明させて頂きましたが、それと同時に、相続人全員が物事の判断能力が備わっている必要があります。このような能力を、法律では「行為能力」と言います。
未成年者や成年後見人がついている人は、その点、制限能力者と言って、単独で遺産分割協議を行うことはできません。その場合には法定代理人が協議を行う必要があります。
遺産分割協議を行うのは、あくまで相続人間で行う必要がありますが、大きな財産を取得することができるので、度々、相続人の配偶者から協議に意見を出されることがあります。しかし、これは話し合いが余計にこじれる可能性が高いです。
話し合いは、シンプルにしましょう。
遺産分割協議の精神は、譲り合いが大事です。お互いがお互い、最大限に権利を主張すれば角が立ち、協議がまとまりにくくなります。そうなると結果的に時間と費用がかかってしまい、損をすることだってあります。
遺産分割の方法には、以下の3つの方法があります。
現物分割は、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割する方法です。例えば相続財産に土地があった場合、相続人の人数分に土地を分筆して、それぞれを単独で取得するようにする方法を言います。
換価分割は、相続財産をお金に換えて、そのお金を分配する方法です。
代償分割は、一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させた上、その相続人が他の相続人に対して代償金を支払う方法です。
遺産分割の合意ができたとき、その合意の内容を記載した遺産分割協議書を作成します。法律上、「遺産分割協議書の作成はこう書きなさい」と規定されているわけではなく、協議書自体は証拠にすぎませんから、それが作成されていなくとも、遺産分割協議が成立されたと認められます。しかし、やはりトラブルになった場合には、証拠がないと主張が否定されることもありますから、後日の紛争防止のためにも遺産分割協議書は作成しておきましょう。
なお、遺産に不動産がある場合や預貯金がある場合は、名義変更手続きを考慮し、実印を押印し、これに相続人全員の印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議で不動産を取得した者は、速やかに登記手続きをすることが重要です。他の相続人が有していた共有持分を他人に譲渡され登記が先になされてしまうと、権利を主張することができなくなります。
預貯金については、遺産分割協議をしなくても、法定相続分について金融機関に権利を主張できます。ただし、金融機関は相続人全員の同意(署名捺印)がないと、解約・名義変更には応じません。
また、法定相続分以上の預貯金を取得したことを金融機関に主張するには、債権譲渡と同様の対抗要件が必要となります(最高裁昭和48.11.22)。したがって、遺産分割協議書を作成して金融機関に提示するか、金融機関所定の書類をもらってしかるべき手続きをする必要があります。
株式を相続した場合は、証券会社や信託銀行を窓口として所定の手続きをすることになります。証券会社を通していない場合は、株式を発行している会社に直接問合せましょう。
相続の対象となるゴルフ会員権を取得した場合、会則で求められている所定の手続きをします。なお、「会員が死亡したときはその資格を失う」という会則である場合、そのゴルフ会員権は相続の対象となりません(最高裁判例昭和53.6.16)
「会員の死亡後6ヶ月以内に届出をした相続人が会員の地位を承継しうる」という会則で、相続人が複数いる場合の6ヶ月の起算点は、遺産分割協議成立の日とされています。
2000年
1月
01日
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